住宅ローンの繰り上げ返済はあり?なし?
このような方向けの記事です
・住宅ローンの繰り上げ返済に悩まれている方
・繰り上げ返済について知りたい方
私自身の現場での経験をもとにお伝えさせていただきます。
はじめに
こんにちは。
住宅ローンの繰り上げ返済は「あり」か「なし」か考えてみます。
繰り上げ返済の「あり」「なし」は、たくさんの方が考察されていますが、
「正解がない」というのが私の結論です。
なぜなら、繰り上げ返済を検討される方の収入状況や
住宅ローンの金利動向等で結論が変わってくるからです。
では「あり」か「なし」かを判断するために、メリットデメリットをまとめてみます。
繰り上げ返済のメリット・デメリット
検討するポイントとしては下記の通りです。
【メリット】
■A:金利負担(保証料の返戻含む)がどのくらい減るのか
【デメリット】
■B:住宅ローン控除の減少額(税額控除)
■C:繰り上げ返済の手数料
【その他検討ポイント】
■D:団体信用生命保険(以後、団信)の保険金額の減少
■E:現預金として残しておくかどうか
定量的に繰り上げ返済のメリットを測るためには下記のように考えるのが一般的です。
繰り上げ返済を行った場合の金銭メリット
A-(B+C)
※D、Eは繰り上げ返済のメリットと直接的に数字で結びつかないため、計算式から除外
では次に各項目について説明いたします。
A:金利負担(保証料の返戻含む)がどのくらい減るのか
借入条件は金利、年数、元利均等返済or元金均等返済など様々ですので、
簡易的にざっくり金利負担軽減額が計算できる方法としては、
・繰り上げ返済額÷毎月の元金返済部分(①)=繰り上げ返済期間を計算
・その元金に付帯している利息(②)を全部足す=繰り上げ返済した場合の金利軽減額=A
となります。
短縮期間が多い場合、金利額の加算が大変になりますので、
「最初と最後の月分の利息を足して÷2×繰り上げ返済期間」でも簡易的に計算可能です。
表で説明すると、
・110万円(1回目~16回目分)を繰り上げ返済
(1回目の利息12,500円+16回目の利息12,090円)÷2×16=196,720円
が繰り上げ返済のメリットとなります。概算利回り17%
B:住宅ローン控除の減少額(税額控除)
年末調整や確定申告のタイミングで住宅ローン控除の申請をすると、
「住宅ローンの年末残高×控除率」分の税金が所得税から還付される制度があります。
(ちなみに、住宅ローン控除は控除開始年によって控除率や控除年数が異なります)
まずは繰り上げ返済を検討するうえで、
「借入金利>住宅ローン控除率」もしくは、
「住宅ローン控除期間が終了している」でなければなりません。
繰り上げ返済をすることで金利負担軽減メリットがあるのに、
年末の住宅ローン控除額がそれを下回っていれば繰り上げ返済の意義が薄れます。
例:借入金利が0.5%、住宅ローン控除率が1.0%であれば、
そもそも「繰り上げ返済をしない」結論に至ります。
ここ10年ほど、逆ザヤ(住宅ローン控除率が借入金利を上回っている)の方が多いです。
つまり、金融機関に金利を支払った額より、住宅ローン控除で税金が還付されている方が多いです。
ですので、ここ最近の一般論としては、
「住宅ローン控除の期間中は繰り上げ返済をしない」方がお得
と言われています。
今後、借入金利が上昇してくれば、
住宅ローン控除が使える期間でも繰り上げ返済を行うメリットがでてきます。
C:繰り上げ返済の手数料
こちらも忘れてはならない項目です。
繰り上げ返済手数料はお取引されている金融機関によってバラバラですが
肌感覚でいうと、1万円~3万円のゾーンが多い印象です。
繰り上げ返済のメリット額を計算するときはこちらも忘れずに計算に入れてください。
このA、B、Cの三要素を計算して繰り上げ返済のメリット額を算出します。
ここまでが繰り上げ返済による「直接的な」メリット額になります。
悩ましいのがここからになります。
D:団体信用生命保険(以後、団信)の保険金額の減少
住宅ローンを契約すると、「団体信用生命保険」に加入される方が大半です。
団体信用生命保険は簡単にいうと、
契約者本人が亡くなった、高度障害の状態になった場合に、
その時の住宅ローン借入額分の保険金が支払われ、住宅ローンが0になる保険です。
住宅ローンは夫名義で契約されるお客様が多いので、
よく女性の方から保険の質問をされることが多かったです。
(契約者本人というより、残された家族の方のための保険ですからね😅)
本題の繰り上げ返済の検討に戻りますが、
当然、繰り上げ返済をすると、住宅ローン残高が減少しますので、
支払われる保険金額も減少します。
一概に住宅ローンの繰り上げ返済をした方がいい!やめたほうがいい!と
議論になるのがこの部分です。
なぜなら、この団体信用生命保険以外にどのくらい生命保険に加入されているか、
家族構成、資産状況によって変わるため、「資産構成の見直し」から
検討する必要があるからです。
例えば、死亡保険は団体信用生命保険以外でたくさん加入しているということであれば、
万が一の場合も住宅ローンの返済分の資金を確保できるケースもあり得ます。
団体信用生命保険も生命保険の一種ととらえて加入している保険の見直しもおすすめです。
また、最近はがん保険つき団信、7代疾病保険付き団信など、
保険の補償範囲を広げた保険も販売されています。
住宅ローンだけ、生命保険だけと切り離して考えるのではなく、
保有資産全体のリバランスもかねて検討するのが良きです。
E:現預金として保有するかどうか
住宅ローンは他のローン(車のローンなど)と比較すると、
長期間に渡って低金利でお金を借りることができる手段です。
ほかにも「住宅ローンは借金だから少しでも借金が減れば精神的に楽」
という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
まとめ
※繰り上げ返済の方法として、期間短縮か返済金額軽減かどちらを選ぶかも選択できますが、
今回は繰り上げ返済がありかなしかの記事なので、後ほど補足いたします。
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